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―健康保険組合全国大会 第一部―全国大会レポート 平成26年度 健康保険組合全国大会

―健康保険組合全国大会 第一部― 全国大会レポート

平成26年度 健康保険組合全国大会

 去る11月26日(水)、健康保険組合連合会は「平成26年度 健康保険組合全国大会」を東京国際フォーラムで開催した。「皆保険を次世代へつなぐ改革実現総決起大会」を副呼称とした同大会には、全国1411の健保組合から約4000人が参加。「前期高齢者医療への公費投入の実現」および「高齢者医療費の負担構造改革と持続可能な制度の構築」の2項目をスローガンに掲げ、健保組合および健保連の主張を内外にアピールした。

 健保連の大塚陸毅(おおつか・むつたけ)会長は、基調演説で、昨今の政治情勢の変化とそれに対する健保連としての考え方、そして、医療保険制度の現状に関する健保組合・健保連の主張を述べた。その後、大会決議(pdf)を、全会一致で採択し、大塚会長から塩崎恭久厚生労働大臣への要請として、代理出席した原勝則厚生労働審議官に手交した。

 また、同大会には、各政党からも多くの議員が駆けつけた。政党を代表し、自由民主党の石井みどり参議院議員と、民主党の柳田稔参議院議員から、健保組合が公的医療制度の担い手であることと、それに対する感謝の意が述べられるとともに、重要な局面を迎える健保組合と健保連に対して激励の言葉が寄せられた。

 さらに、関係団体である日本経済団体連合会社会保障委員会医療改革部会長の望月篤氏、日本労働組合総連合会会長の古賀伸明氏、全国健康保険協会理事長の小林剛氏の3氏がそれぞれの立場から政策の必要性と連携の重要性を訴えた。

同大会終了後には、元メジャーリーガーの田口壮さんと、女子プロゴルファーの古閑美保さんをゲストに迎え、「スポーツと健康」をテーマにしたトークセッションが行われ、同大会に花を添えた。

基調演説 ~健康保険組合連合会会長 大塚 陸毅~

 まず、昨今の政治情勢の変化と、それに対する我々の考え方をお話しいたします。


健康保険組合連合会会長 大塚 陸毅 氏

 先週21日に衆議院が解散されました。それに伴い、消費税率の10%への引き上げを18カ月延期する方針が示されています。消費税は社会保障財源に直結する非常に大事なものです。安倍総理がさまざまな情勢を総合的に勘案して決断されたことでもあり、引き上げ延期の判断そのものについては尊重したい。

 しかしながら保険者の財政をめぐる状況は、まさに待ったなしの状態であり、ここでわれわれは歩みを止めるということではありません。来るべき消費税率引き上げの時期に向け、より強力に活動を推進するとともに、消費税率引き上げまでの間も、公費導入による財政支援、不合理な現行制度の是正・改正等による、現役世代の負担の軽減を目指していかなければなりません。年明けに開催される予定の社会保障審議会医療保険部会において、医療保険制度の改正案が示され、最終のとりまとめとなる見込みです。審議会での現時点での議論は、われわれが頷けるものばかりではありません。健保組合・健保連が求める体制につなげていくために、より強く、より大きな声を上げる必要があります。

 次に、医療保険制度改革についての現状について述べたいと思います。

 日本経済の再生を最重要課題とする安倍政権では、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」をアベノミクスの「3本の矢」として、経済財政政策が進められていますが、あわせて社会保障制度改革、なかでも、医療保険制度改革については非常に重要な時期に差し掛かっています。昨年の社会保障制度改革国民会議の報告書では、肝心の高齢者医療制度についてはほとんど触れられていませんでした。そのため、われわれは、高齢者医療費の費用負担を見直すことこそが、医療保険制度改革の核心であり、議論の俎上に載せるべきだということを、再三にわたり強く主張しました。その甲斐あって、本年4月以降の社会保障審議会医療保険部会では、主張内容が論点に加えられ、われわれも期待を高めていたところです。

 しかし、先月の医療保険部会において、後期高齢者支援金の総報酬割の全面導入が提案され、健保組合にとっては、さらなる負担増となる、理不尽で一方的な案が出されています。すなわち、前期高齢者にかかる後期高齢者支援金については、負担方法の見直しを主張していたにも関わらず、見直すどころか、全面報酬割を導入した上で、加入者調整率をかける提案がなされており、これは絶対に受け入れることはできません。

 現在、健保組合が先行きの見えない厳しい財政状況を強いられている最大の要因が、高齢者医療への拠出金の過重な負担にあることは明らかです。現在の高齢者医療制度が創設された2008年以降、健保組合の拠出金の総額は、じつに20兆7000億円にも及び、もはや拠出金は保険料の45%を超え、このままでは50%を超えることは確実です。保険料収入は本来、その多くを加入者への給付事業や保健事業へ充てるのが筋です。しかし、約50%が拠出金に充てられ、その結果、健保組合の約8割が赤字となり、まさに崖っぷちに立たされているのです。これは異常事態と言わざるを得ません。

 健保組合が財政的に破たんし、解散となれば、どういったことになるのでしょうか。事業主と一体となった、顔の見える効果的な保健事業等による健康づくりは後退してしまいます。そして、解散によって、加入者が協会けんぽに移管すれば、結果として多くの公費が必要になるのです。関係者にはその現状を十分に認識していただきたいと思います。加入者にきめ細かいサービスが提供できる健保組合、自主自立でほとんど公費を必要としていない民の組織である健保組合を存続させていくことが、世界から高く評価されている日本の皆保険制度を維持していくためには不可欠です。いずれにしても、このままでは健保組合の存続だけではなく、皆保険制度そのものも崩壊しかねません。今大会の副呼称に「皆保険を次世代へつなぐ改革」とありますが、これがまさに今求められているものなのです。

 そこで、まず必要になるのが、かねてからわれわれが主張しておりました前期高齢者医療への公費投入の実現です。

 世界的にも類がない急速な少子高齢化が進行するなか、高齢者医療費に対する現役世代の拠出金負担は、すでに限界に達しています。来年には、すべての団塊の世代が前期高齢者へ移行することにより、さらに負担が増大することは明らかです。世代間の助け合いとして、高齢者医療への一定の負担は必要ですが、それにも限界があります。健保組合の保険料収入に占める拠出金の割合は、このままでは50%を超え、支える側が潰れてしまいます。皆保険制度を持続させるためには、高齢者医療費を公平かつ合理的に支える、前期高齢者医療への公費投入が是が非でも必要です。

 また、全面総報酬割の導入については、われわれは導入そのものに反対しているわけではありません。現在、全面総報酬割の導入により浮く国費財源を、国保に転用するという案が示されていますが、この点については断固反対し、負担構造改革とセットで議論すべきだと思っています。すなわち、被用者保険の高齢者医療への負担軽減に充てるよう強く主張してまいります。

 現行の前期高齢者にかかる財政調整に関しては、その不合理な負担方法そのものを是正していかねばならないことは言うまでもありません。医療費は、税と保険料と患者負担でまかなわれるものですから、それぞれの負担のあり方をどうするのか、そもそも、全体の国民負担を今後、どのようにしていくのかを考えていかなければなりません。特に国民医療費の約6割を占める高齢者医療費について、現役世代と高齢者との負担をどうするのか、公費負担の在り方はどうなのか、という点について、中長期にわたるビジョンを持った上で改革が進められるべきだと思います。保険の役割を明確にし、負担と給付のあり方について、しっかりとした議論をし、その議論の上に立った公平性と納得性のある改革が求められます。

 昨年の国民会議の議論が始まる前から、われわれは社会保障制度の今後のビジョンを示すよう要望してきました。しかし、残念ながら、国民会議では、将来ビジョンの提示にまでは至りませんでした。本年7月に新たに安倍総理のもとに設置された社会保障制度改革推進会議において、将来ビジョンが示されることを強く期待する次第です。一方、少子高齢化が加速する中で、持続可能な皆保険制度を維持していくためには負担をどうするかということだけではなく、増え続ける医療費を節減していくことも重要です。


 健保組合は、思い切った給付範囲の見直しを含めた、さらなる医療費適正化策の実施を求めていくとともに、データヘルスなど、医療費適正化に資する保健事業を積極的に推進していかなくてはなりません。

 今、日本にある保険者の中で、もっともきめ細かく、加入者へさまざまなサービスを展開し、健康の保持、増進、医療費の適正化に力を発揮できるのは、健保組合しかないと思います。ほとんどの健保組合が財政的に厳しいことは、私も十分に承知しています。しかし、要求するだけではなく、われわれ自身も苦しい中、少しでも加入者の将来の健康が保たれるような事業を実施していかなければなりません。それが、健保組合が皆保険を中枢として支えてきたこと、健保組合こそが保険者の鏡であることを、多くの国民や関係者に理解していただき、健保組合の必要性を強く認識していただくことにつながるのだと思います。健保組合・健保連は、力を合わせて、自ら努力し、健保組合の価値をさらに高めていきたいと思います。

 最後に、私が健保連会長に就任して以降、7カ月間、意識してきたことをお話ししたいと思います。それは、一般の方々にできるだけ分かりやすく伝えていくことです。本日は健保組合の現状に一定程度の理解がある方が集まっているということもあり、専門的な言葉も少なからず使わせていただきました。しかし、前期高齢者、後期高齢者、財政調整、総報酬割、前期高齢者にかかる後期支援金などの言葉は、一般の方々に話してもほとんど理解していただけないのではないでしょうか。まさかと思われるかもしれませんが、私が、身近な若い人と話したところでは、国民皆保険という言葉でさえ、よく理解されていませんでした。健保組合に関心を持っていただき、その状況と主張を理解していただくには、分かりやすく、粘り強く伝えていかなくてはなりません。このことにつきましては、本日ご参加の皆様にも是非意識していただいて、実行していただくことをお願い申しあげます。

 本日の全国大会を契機とし、われわれが期待する「前期高齢者医療への公費投入の早期実現」と「高齢者医療費の負担構造改革と持続可能な制度の構築」に向けた活動をさらに強化し、本日ご参加の皆さんも含め、健保組合加入者3000万人が一丸となり、広く分かりやすく、健康保険組合の必要性を強く認識させる活動に結びつけていきたいと思います。私も先頭に立って、要求実現に向けて取り組んでいく所存です。

 本日ご参集の皆さん、そして全国1411の健保組合の皆さんに、格段のご協力、ご尽力をお願いし、私の基調演説とさせていただきます。ありがとうございました。

―健康保険組合全国大会 第二部― トークセッション
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