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―健康保険組合全国大会 第一部― 全国大会レポート/平成27年度 健康保険組合全国大会

―健康保険組合全国大会 第一部― 全国大会レポート

平成27年度 健康保険組合全国大会

 去る11月25日(水)、健康保険組合連合会は東京国際フォーラムで「2015年度健康保険組合全国大会」を開催した。「現役世代が納得できる公平な制度の実現へ」を副呼称とした同大会には、全国1405の健保組合関係者ら約3,500人が参加。「高齢者医療費の負担構造改革の実現」、「安定した組合運営に向けた財政支援の継続・拡充」、「実効ある医療費適正化対策の実施」、「保険者機能の発揮に効果的な健保組合方式の維持・発展」の4項目を含む決議(pdf)が、満場一致で採択された。

 健保連の大塚陸毅(おおつか・むつたけ)会長は、基調演説で、昨今の政治情勢の変化とそれに対する健保連としての考え方、そして、医療保険制度の現状に関する健保組合・健保連の主張を述べ、内外に強くアピールした。

 同大会には、竹内譲厚生労働副大臣、とかしきなおみ厚生労働副大臣、三ッ林裕巳厚生労働大臣政務官、太田房江厚生労働大臣政務官が出席。竹内厚生労働副大臣は、あいさつのなかで、医療保険制度の健全な発展に向けた健保組合・健保連の尽力に謝辞を表明したうえで、昨今の急激な高齢化の進展や医療の高度化にともなう医療費の増加など、医療保険を取り巻く環境が非常に厳しいと指摘。健保組合の財政状況については、経済状況は好転するものの、高齢者医療に対する重い拠出金負担は楽観視できる状況にはないとの認識を示し、国民皆保険を堅持するために、政府として医療提供体制、医療保険制度の改革に取り組む決意を述べた。

また同大会には、各政党からも多くの議員が駆けつけた。政党を代表し、自由民主党の古川俊治参議院議員と公明党の枡屋敬悟衆議院議員、民主党の長妻昭衆議院議員の3氏があいさつし、健保組合に対する期待と医療保険制度をめぐる課題の克服に取り組む考えを示した。

 関係団体の日本経済団体連合会常務理事の阿部泰久氏、日本労働組合総連合会会長の神津里季生氏、全国健康保険協会理事長の小林剛氏の3氏がそれぞれの立場から政策の必要性と連携の重要性を訴えた。

 さらに、福岡県情報サービス産業健康保険組合の山田豊彦常務理事、SGホールディングスグループ健康保険組合の新谷元司常務理事、イオン健康保険組合の武内俊明常務理事の3氏による質疑、意見発表が行なわれた。3氏ともに、健保組合の苦しい財政状況や、その最大の要因である高齢者医療への拠出金の負担構造、あるいは算定方式の改革、さらには、短時間労働者の被用者保険への適用拡大や高齢者医療への拠出金負担の今後の見通しといった、健保組合の中長期にわたる事業運営への不安を訴えた。

第2部では、健保組合の取り組みを紹介するVTRを上映。VTRの合間には、フリーアナウンサーの平原沖恵さんを司会に、健保連の白川修二副会長、日本通運健康保険組合の安藤伸樹理事長(健保連広報委員長)、セーレン健康保険組合の野路日出男専務理事(健保連大会運営委員)の3名がトークセッションを行なった。

基調演説 ~健康保険組合連合会会長 大塚 陸毅~

 本日、多くの健保組合関係者にお集まりいただき、2015年度健康保険組合全国大会を盛大に開催できますことは、私の大きな喜びとするところです。


健康保険組合連合会会長 大塚 陸毅 氏

 10月7日には、第3次安倍改造内閣が発足。安倍総理は、今回の内閣を『未来へ挑戦する内閣』と位置付け、「強い経済」、「子育て支援」、「社会保障」を新たな三本の矢として、重点的に取り組む事を表明しました。

 社会保障の一翼を担うわれわれ健保組合は、国民皆保険制度という財産を未来につなぐため、積極的に意見を発信していくべき立場にあり、本日の全国大会もその貴重な機会だと考えています。

 初めに、医療保険制度改革関連法については、2013年8月に「社会保障制度改革国民会議」が取りまとめた報告書に基づき、具体的な改革項目の全体像や今後の進め方を示す、いわゆるプログラム法が成立しました。その後、社会保障審議会医療保険部会等での議論を受け、本年5月に「医療保険制度改革関連法」が成立しました。

 2年以上の議論を経て成立した改革法ですが、国保運営の都道府県化に主眼をおいた改革となっており、後期高齢者支援金の全面総報酬割によって生じる国費財源の7割相当は、国保の財政対策に転用することとなりました。

 これは、国の財政責任を現役世代の健康保険料に転嫁する「肩代わり」そのものです。重い拠出金負担に苦しむ被用者保険に対しては、100億円規模の軽減措置がなされ、2017年度から制度化されることとなっていますが、われわれとしては、納得のできる改革とは言い難いものとなりました。

 本日、改めて全国の健保組合の団結を再確認し、われわれの目指す改革の実現に向け、引き続き邁進していかなくてはなりません。

依然厳しい健保組合の現状

 10月2日に公表した2014年度健保組合決算見込みの結果は、現行の高齢者医療制度の施行前である2007年度以来7年ぶりに636億円の経常黒字となりました。また、それに先駆けて公表された協会けんぽの2019年度までの財政見通しにおいても、現行の保険料率10%で維持が可能と示されました。こうした状況が、「被用者保険の保険財政は安定してきており、改革の必要性はなくなってきた」と誤解されないよう、正しい情報をわかりやすく伝えていかなくてはなりません。

 健保組合の運営は、全国1405組合がそれぞれ独自に行っており、その財政状況は千差万別です。赤字組合はいまだ741組合と、全体の5割以上にあたります。また、保険料収入に対する高齢者医療への拠出金が4割を超える健保組合は約7割もあり、現役世代に過重な負担がのしかかっているという財政構造はなんら変わっていません。

 健保組合が、過重な拠出金負担や、高齢化の進展などで増大する医療費の支出を賄うためには、保険料率の引き上げあるいは積立金の充当しかありません。今回黒字になった要因としては、積立金が枯渇した健保組合が、保険料率の引き上げを進めたことなどがあげられます。2007年度から7年間、平均保険料率の増加率は21%以上に達し、協会けんぽの平均保険料率の10%を上回る健保組合は約2割と、極めて厳しい状況です。

 昨年、団塊の世代すべてが前期高齢者に達し、高齢者医療費は今後も高水準で推移されます。そのなかで、後期高齢者支援金の総報酬割が段階的に拡大され、2017年度には全面総報酬割が導入されます。加えて、2016年10月には、短時間労働者への被用者保険の適用拡大が実施される予定であり、今後さらに対象を拡大する方向です。

 健保組合を取り巻く情勢は、今後ますます厳しくなります。現状でさえ、増え続ける医療給付費と過重な拠出金負担にあえぐ健保組合にとって、とても耐え得るものではありません。

 支援する側、支援される側の負担、そして医療保険制度を維持するうえでの国の責任、これらのあり方を抜本的に議論し、明日へとつながる皆保険制度の再構築を行う必要があります。本会の副呼称に掲げた『現役世代が納得できる公平な制度』の実現は、まさにわれわれの使命です。

保険者をリードする健保組合

 こうした時にこそ、われわれが真価を発揮することが求められます。今年の7月には、経済団体・保険者・自治体・医療関係団体のリーダーが手を携え、国民一人ひとりの健康寿命の延伸と医療費の適正化に向けて、先進的な予防・健康づくりの取り組みを行う活動体として『日本健康会議』が発足されました。私も、健保連会長として、その一翼を担っています。

 また、今年度から保険者が展開することとなったデータヘルスの取り組みなど、生活習慣病の予防・対策等による医療費の適正化も、われわれ健保組合がリードしていく必要があります。

 経済財政諮問会議の下には、「経済・財政再生計画」の策定に向けた「経済・財政一体改革推進委員会」が設置され、目下、工程表を策定中ですが、そのなかには、社会保障改革に関する項目が多く、さらには、医療保険制度改革関連法のなかにも、「医療費適正化計画の見直し、予防・健康づくりの促進」の項目があり、保険者が行う保健事業への期待が含まれています。

 一方で、同法には、国保改革にあたって、国保財政のために多額の拠出金を負担している被用者保険の意見を反映する条項がありません。これは大変遺憾なことです。皆保険制度を維持していくためには、被用者保険と国保がともに協力しなければなりません。

 今後設置される都道府県の国保運営協議会には、必ず被用者保険代表者を参画させることや、国保財政の健全化に向けた厳格な運営などを強く求めた要望書を、11月20日に健保連と協会けんぽの連名で厚生労働省に提出しました。

 今こそ、健保組合が知恵を絞り、優位性ある保険者機能を発揮し、保険者のリーダーとして、その真価を世に示す時です。そして、健保組合の必要性と力を認めてもらい、われわれの要求実現の1つの力にしましょう。

 今後の活動は、本日の全国大会を契機に、過重な拠出金負担の軽減、そして短時間労働者の適用拡大等にともなう支援措置等、2016年度の政府予算編成に向けた対応を進めることが中心となります。

 そして、3月頃からは、2017年4月に予定されている消費税率10%への引き上げを視野に、先の医療保険制度改革関連法における附帯決議の趣旨も踏まえ、われわれの積年の課題である高齢者医療制度の負担構造改革に向けた議論が開始されるよう、全力で要求実現活動を展開していかなくてはなりません。

世論形成にむけた広報展開

 要求実現に向けた取り組みでもう1つ大切なことがあります。それは、わかりやすい広報活動です。昨年の全国大会で放映した「街頭インタビュー」では、健保組合の実情等について、一般の方がたにはほとんど理解されていないという、衝撃的な事実をつきつけられました。

 2014年から『あしたの健保プロジェクト』をスタートさせ、さまざまな広報活動を展開していますが、まだまだ世論形成まで繋げることはかなっておりません。この活動が世論につながり、政策を動かす1つの力となり得ることは間違いありません。

 皆さんにおいても、それぞれの健保組合での会議や広報活動において、健保組合全体が置かれている実情を、事業主や加入者の方々にご理解いただくための一層の工夫と努力をお願いしたいと思います。

 われわれには、3000万人の加入者の力があります。この力を最大限発揮するには、健保組合、都道府県連合会、そして健保連のすべてがベクトルを合わせることが何よりも重要です。この先、1年弱のわれわれの活動が、日本の医療保険制度の将来に大きく影響することになります。次の世代に、より安心できる、より持続性のある医療保険制度をつないでいくことが、今、医療保険制度に携わる者の責務です。

 私も、精一杯頑張ってまいる所存であります。本日、ここにご参集の皆さんをはじめとして、全国1400余りの健保組合の関係者の皆さんの絶大なご支援・ご協力をお願いし、基調演説とします。

―健康保険組合全国大会 第二部― <特別企画>VTR&トーク
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