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公平な医療保険制度を目指し、大胆な改革を!~現役世代の負担抑制・世代間格差の是正~

高齢者医療費の急増、大規模健保組合の相次ぐ解散報道。国民皆保険維持に危機が迫る今、税制や社会保障財政に精通する土居丈朗氏(慶應義塾大学経済学部教授)にこれからの高齢者医療制度のあり方と世代間格差を是正するための改革について見解を伺った。

──医療保険制度の現状と今後の見通しについて、ご意見をお聞かせください。

 高齢者の増加・高齢者医療費の急増を背景として、いくつかの大きな健保組合の解散が報道されるなど、かなり厳しい局面を迎えていると感じています。問題の根幹にあるのが増え続ける高齢者医療費を誰がどれくらい負担するのかということです。健保連の推計では2025年度の国民医療費は57.8兆円、後期高齢者医療費だけでも25.4兆円にも膨れ上がります。この医療費を現行の仕組みで、現役世代が支えようとすると保険料が激増することはもちろん、自らの保険料の半分以上を高齢者に「貢ぐ」ことになります。(図1)さすがにこの状況はもはや「保険」とはいえず、現役世代の負担抑制・世代間格差の是正に取り組まなければなりません。

「義務的経費(法定給付費+拠出金)に占める拠出金の割合」のグラフ

──世代間での医療の給付と負担についてお考えを教えてください。

 世代間の公平については、長く議論されていますが、なかなか抜本的な改革が進んでいない状況にあります。現状でも医療の給付と負担のバランス(図2)をみると、かなり現役世代に負担を強いていることがわかります。

「年齢階級別1人あたり医療費、自己負担額及び保険料の比較」のグラフ

 民間保険会社が保険料を決める際には、所得の高低に関わらず、病気になりやすいリスクに応じて保険原理で保険料を算出します。当然高齢になれば病気のリスクが高くなるため保険料も高くなります。しかし、わが国の医療保険制度は社会保険方式をとっているので、保険原理だけではなく、負担能力に応じて負担をお願いし、支え合うという扶助原理が大きく働いています。

 所得を多く稼ぐ現役世代により多く負担をお願いし、総じて所得が少ない高齢者の負担を軽くすることで、全体として収支が合うような形でバランスが取れているようにみえるかもしれません。しかし現在は超高齢社会ですから、多く負担をお願いする現役世代は減少し、少ない負担の高齢者が急増しています。医療保険制度を通じた世代間の所得再分配が進むことで世代間格差が拡大しているのです。

──この世代間格差を是正するためには?

 現状での現役世代の負担は、非常に重い。かつ今後も高齢化は進行し、ますます高齢者医療費は増えていくわけですから、現行の仕組みのまま現役世代の負担を増大させていくことに限界が迫っています。そういう意味でも、高齢者医療費の財源を、現役世代も高齢者も同じように負担する消費税でより多く賄っていくことが、世代間格差を和らげることにつながるのではないでしょうか。

 また、高齢者の負担についても見直しが必要です。70歳以上で自己負担割合が3割の「現役並み所得」の定義も高齢者を優遇しています。今は現役世代と同額の課税所得を現役並み所得の判定基準としています。しかし、公的年金などの控除と給与所得控除が併用される高齢者世帯では、控除前の収入が現役世代を上回っています。本来、負担できるはずの高齢者に負担をお願いできていない状態で、こうした制度設計は不公平であり、現役並み所得の定義を真に現役並みとなるように見直すべきです。

 そして現在1割である75歳以上の後期高齢者の患者負担ですが、高額療養費制度を反映した自己負担率の実績値は低下傾向にあり、7.8%(15年度)です。その分、現役世代の負担が増えることを踏まえると、高齢者の自己負担割合の引き上げに本腰を入れて考えるべきです。例えば、70~74歳の2割負担を、引き続き75歳に到達した方にも適用し、2割負担の対象年齢を引き上げるなど思い切った改革が必要です。

──国民皆保険を維持するために必要な改革の方向性について。

 前述の高齢者医療費の負担構造改革に取り組むのはもちろんですが、それだけでは不十分です。支え手の数が大幅に減少するなか、保険料の負担料率を高めて支えていくには一定の限界があります。保険適用の対象範囲の見直しや診療報酬改定などで給付の抑制を図る必要もあります。

──本日は貴重なご意見ありがとうございました。

慶應義塾大学経済学部教授 土居丈朗氏。1970年生まれ。大阪大学経済学部卒、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。09年から慶應義塾大学経済学部教授。財政制度等審議会委員や厚生労働省社会保障審議会臨時委員など多くの政府関係委員を務める。

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