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昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ

株式会社オートバックスセブン

 株式会社オートバックスセブンは、1948年に自動車部品の卸売会社として設立されました。創業者の住野利男氏の経営思想は「経営の3本柱」に集約されており、「社員の健康」は、その三本柱の1つになっています。その象徴的存在が、1992年に開設された「オートバックス大阪健康センター」です。同センターでは、健康診断において生活習慣病などの問題が発見された社員を対象とした「健康マネジメント研修」を実施しています。こうした取り組みが評価され、同社は2015年、「DBJ健康経営格付」で最高のAランクを取得しました。創業者の思いを軸に、社員の健康増進に取り組む同社の皆さんにお話を伺いました。

【オートバックス健康保険組合の概要】
加入事業所数:18事業所(2016年5月末)
加入者数:7,812名(2016年5月末) ※被扶養者3,958名を含む

──社員の健康増進における取り組みは、いつから、どのような理由で始まったのでしょうか。


株式会社オートバックスセブン
執行役員 人事・総務・法務担当
北條 和重さん

 創業者である住野利男は、経営の三本柱の1つに「従業員の健康は会社の財産である」との考えを示すなど、かなり早い段階から、従業員の健康と会社の経営を結び付けて考えていたといえます。従業員が大病を患うと、その上司を叱責し、管理者側が大病を患うと、その部下を叱責したとのエピソードがあるほどです。

 日本初のカー用品のワンストップショップ「オートバックス」は、1974年に大阪府大東市に出店されたのですが、1992年、その創業の地に「オートバックス大阪健康センター」(以下、健康センター)を設立しました。健康センターが開設されてからしばらくは、1週間の宿泊型で健康増進に向けたカリキュラムを設けて、従業員やその家族、フランチャイズ加盟店の皆さんなど、延べ2500名以上が参加してきました。現在は、定期健診で生活習慣病などの問題が発見された社員に対し、1泊2日の「健康マネジメント研修」に参加することを義務づけています。生活習慣病の原因や、罹患した場合のリスク、運動の重要性、外食時のメニューの選び方などをしっかりと学び、病気を未然に防ぐことに注力しています。なお、この研修にかかる費用は、交通費も含めて、すべて会社で負担しています。アンケートでは「行って良かった」、「健康を見直すいい機会になった」といった前向きな回答が数多く見受けられます。

──コラボヘルスについては、どのように取り組んでいますか。


株式会社オートバックスセブン
人事部長 古田 寛之さん

 かつては、総合型の健保組合に入っていたのですが、1997年に当社独自の健保組合を発足させました。しかし、事業所、健康センター、労働組合、健保組合が別々に健康施策を実施していたため、健診データとレセプトデータの集約ができていない状況が続いていました。データの集約なしに従業員の健康管理はできないと考え、健保組合の働きかけによって、2011年に「健康増進協議会」が設けられ、それまで別々だった組織が一体となり、健康施策を推進する体制が整いました。


 実際にデータを分析してみたところ、若年層にも生活習慣病予備軍が散見されたことから、会社として具体的な施策を打ち出そうということで、2013年に本社2階に「健康管理室」を設置しました。さらに、2014年には社長自らが「健康宣言」(右図参照)を打ち出し、健康経営に取り組む意向を全従業員に向けて宣言しました。

 健康経営に向けた体制としては、社長が委員長を務める健康増進協議会が企画を担当し、人事部長が室長を務める健康管理室が実行を担当しています。健保組合と人事部に関しては、両方の組織に属しており、健康センターと労働組合は健康増進協議会に、EAP準備室と産業医・保健師は健康管理室に属しながら、必要に応じて情報を共有し、コラボヘルスに取り組んでいます。

──データヘルス計画を通して見えてきたこと、あるいは、課題解決に向けて実施している保健事業についてお聞かせください。


オートバックス健康保険組合
理事長 経森 康弘さん

 健保組合の顧問医監修による健康リスク階層化基準に基づいて、加入者全員をブラック、レッド、イエロー、グリーンの4階層に分け、健康リスクの高い人の数を減らす努力をしています。とくに突然死のリスクがあるとされるブラックゾーン判定者については、まず人事部から直接本人に電話で受診勧奨をします。人事が受診勧奨を行なう方が、健保組合から受診勧奨をするよりも効果的だと考えているためです。産業医や保健師は、人事部から本人へのアプローチ後に、受診勧奨を行い、実際に再受診をするまでモニターし続けます。とにかく、ブラックゾーン判定者を放置することだけは決してないようにしています。なお、こうした取り組みを実施した結果、2014年度のブラックゾーン判定者16名のうち10名がブラックゾーンから脱出しました。ただし、事業所編入など新しい人が加わるなどの背景もあり、新たにブラックゾーンと判定される人もいるので、ブラックゾーンの総数が激減することはないのですが、同一人物がいつまでもブラックゾーンにいるという危険な状況は解消しつつあると考えています。

 創業時からの健康風土に加え、会社と健保組合が一体となって健康施策に取り組むようになってからは、健診結果を健康管理室に持参して、健診結果の見方について相談に訪れる従業員や、体調不良の際に早い段階で健康管理室を利用する従業員が増えるなど、従業員の健康に対する意識も徐々に高まっています。また、上司が健康管理室を訪れ、部下の健康相談をしたり、あるいは人事部が健康リスクの高い社員を連れて産業医のもとを訪れるなど、いわゆるラインケアの兆しが見えてきたことも、いい風潮だと思っています。こうした良い傾向に拍車をかけるべく、今年度からは本社において就業時間中の完全禁煙を開始しました。禁煙への取り組みも含め、健康経営に関することはすべて、オートバックス単体ではなく連結子会社にまで順次拡大していく予定です。

──健康保険組合として抱えている課題はありますか。


オートバックス健康保険組合
常務理事 杉河 修さん

 財政面においては、納付金が厳しく赤字が続いています。当健保組合は来年、設立20周年の節目を迎えるのですが、昨年、設立後初めて保険料率を7.8%から9.0%に引き上げました。しかし、連結子会社を当健保組合に加入させる動きも進めていることから、健康リスクの高い従業員が増えたり、前期高齢者の数が増えたりと、やはり財政は厳しいのが現状です。また、全国に1万人以上いるFCの皆さんの健康づくりにどうアプローチしていくかも、今後の課題の1つだと思います。

──「あしたの健保プロジェクト」や国に対するメッセージをお願いします。

 団塊世代が75歳以上になる2025年には、高齢の患者が激増し、医療費や介護費が大きく増加するといわれています。私どもが企業として健康づくりに励むことは、国の医療費削減にもつながることですので、国としても2025年に向けてどのような施策で臨むのかを明示していただきたいと思います。その際、現役世代の負担増加にならないような施策であることを願う次第です。

株式会社オートバックスセブン 執行役員 人事・総務・法務担当 北條 和重さん
「アベノミクスの日本再興戦略の中で健康寿命の増進が謳われ、それにより厚労省が具体的に動き出したことが、われわれが健康経営を推進する追い風になりました」

株式会社オートバックスセブン 人事部長 古田 寛之さん
「ブラックゾーン判定者は人事部から受診勧奨をしていますが、レッドゾーン判定者は直属の長から受診勧奨をしています。誰による受診勧奨がもっとも効果的かを考えた上で、今後もラインケアを推進していく考えです」

オートバックス健康保険組合 理事長 経森 康弘さん
「早期発見、早期治療で、疾病の重症化によってつらい思いをする従業員やその家族を少しでも減らしていきたいです」

オートバックス健康保険組合 常務理事 杉河 修さん
「社員が定年退職を迎えるときに『社員の健康を親身にケアしてくれるオートバックスの社員でよかったな』と思ってもらうことが私どもの大きな夢ですね」

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