昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ

株式会社ダイフク

全社横断で推進する健康経営

 1937年の創業以来、物流システム・機器の開発などを行う株式会社ダイフクは、従業員の健康を事業の持続的発展の根幹を担うものと捉え、健康維持・増進のための活動を推進しています。2006年に全社横断的な組織として、「こころと体の健康づくり委員会」を設置し、健康課題に応じた施策を展開。健保組合や労働組合と連携して、効果的・効率的に健康増進のサポートや職場環境の改善を図っています。17年、18年と2年連続で健康経営優良法人に認定され、さらに18年には健康経営銘柄に選定されました。その具体的な取り組み内容について、話を伺いました。

【株式会社ダイフク】
設 立:1937年5月20日
本 社:大阪市西淀川区御幣島3-2-11
従業員数:9193名(グループ計 / 2018年3月31日現在)

【ダイフク健康保険組合概要】
加入事業所数:5社(2018年12月31日現在)
加入者数:8685名 ※被扶養者4627名含む

──社員の健康づくりに取り組むきっかけや背景などについてお聞かせください。

 ダイフクグループでは、企業行動規範に従業員の健康に関する項目を設けています。2016年に日本政策投資銀行が実施する「DBJ健康経営格付」で最高ランクの格付を取得し、18年に健康経営銘柄に選定されたことなどを機に、「ダイフク健康白書2018」を作成し、従業員に配布しました。健康白書には、副社長による健康経営宣言メッセージや従業員アンケートをもとにしたダイフクグループ全体の健康状態、各地で開催している健康イベントなどを紹介しています。

 当社が健康づくりに取り組み始めた背景には、メンタル不調者が増加傾向にあったことがあります。それを改善しようと、06年に「こころと体の健康づくり委員会」という全社横断的な組織を立ち上げました。発足時は、メンタルヘルス対策を中心に活動していましたが、年々、従業員の健康増進全体をサポートするようになりました。


株式会社ダイフク
人事総務本部 総務部長
後藤 吉弘 さん

 本委員会は、副社長をトップに、産業医や保健師、各地区の総務グループが担う事務局、健保組合と労働組合、そして4つの主要事業所が分科会をもつ形で組織しています。事業所には、毎年事業計画を提出してもらい、その内容に応じて予算を振り分けています。事業計画では、健診結果から見えてくる健康課題に対応した施策を立てています。こうした事業所主体で進める施策に加えて、健保組合や労働組合が企画する健康増進施策も実施しています。健保組合の事業計画も、本委員会で共有します。そうすることで、会社と労働組合、健保組合が連携した健康づくりが可能になっています。

 活動を始めた頃は、健康増進施策などは就業時間外に実施していました。しかし、活動していくにつれて理解醸成が図られ、今では業務時間内に実施しています。事業所によっては工場などの製造ラインを止められない場合もありますので、各事業所の都合や実施内容に合わせて参加しやすい形をとっています。年々、担当者の経験値やスキルも上がり、各事業所で活発な取り組みが行われています。

 また、毎月開催される人事・総務の責任者会議でも、健保組合の保健事業について説明しています。人事・総務の責任者会議に出席する役員から情報提供してもらうことも、健康増進施策の円滑な実施につながっています。常に協力体制がとれる状況になっているおかげで、たとえば休職者の復帰支援などもスムーズです。

──具体的にはどのような取り組みを実施していますか。


株式会社ダイフク 人事総務本部
総務部大阪総務グループ主査
林 学 さん

 事業所ごとに、①リフレッシュ②メンタルヘルス③体力④食生活――の4つの項目で、さまざまな企画を立てて、月に1回以上のペースで実施しています。たとえば、ミニ運動会の開催や空手エクササイズ、腰痛予防体操、近所のジムでの運動セミナー、長縄跳びの大会を実施しているところもあります。昨年は、睡眠セミナーが好評でした。ミニ運動会や長縄跳びなどは部門対抗のため、本番に向けて各部で練習するなど、職場の活性化にもつながっています。

 メンタルヘルスでは、管理職を対象としたラインケアセミナーや新入社員向けや階層別のセルフケアセミナー、アンガーマネジメントセミナーなどを実施しています。また、環境の変化によるストレスが大きいことから、転勤や中途採用者には定期的に保健師による面談を実施しています。

 食生活では、社員食堂を活用して、減塩や腸内環境といったテーマで食品メーカーとコラボした企画などを定期的に実施しています。開催に合わせて、血圧や体脂肪率などの健康チェックができるブースも設置しています。食生活改善セミナーも開催していて、食事の前後でどれだけ血糖値が変化するかなどを実感してもらっています。健保組合では、既存の事業を活用して、保健指導の実施率の向上を図っています。

 また、会社と健保組合が共同して、月に一度、全事業所で「職場でエクササイズ」を実施しています。インストラクターが各フロアを回って10分程度のエクササイズを行います。その時間は言わば強制的にやらざるを得ない状況になりますので、健康に無関心な層へアプローチすることができます。この事業も定着しつつあり、インストラクターの姿を見かけると自然と社員が立ち上がるようになりました。


ダイフク健康保険組合
常務理事 中川 健一 さん

 さらに一部の事業所では、マッサージ師による産業マッサージを導入しました。とても好評のため、事業を拡大する方向で検討しています。健康づくりの施策は、拠点事業所に集中しがちになるため、それを解消しようと、エクササイズやマッサージを出向先でも受けられるように、インストラクターやマッサージ師を派遣しています。

 健康イベントの情報や健康づくり委員会の目標と指針、実施状況などは社内のイントラネットで発信、共有しています。最近では、経営者がメッセージを発信する際には、かならず従業員の健康の重要性が盛り込まれるなど、企業風土として根付きつつあるように感じます。加えて、今年度から健保組合がWebサイト上で健康ポイントを付与する仕組みを導入し、予想以上に参加してくれていることからも従業員の健康意識が高まっていることがうかがえます。健康増進施策については、参加率や参加者のアンケート結果で、事業評価をして毎年見直しを行っています。

──健康経営銘柄2018選定、健康経営優良法人2017、2018(ホワイト500)認定についてお聞かせください。


ダイフク健康保険組合
事務長 端 賢二 さん

 これまでの活動を調査票に回答してみたら、認定されたという印象です。健康経営銘柄を取得したことによる従業員からの反応はまだまだですが、就職活動をしている学生からは反響がありました。よりよい人材の採用につながっていけば、会社としても大きなメリットではないでしょうか。

──現状抱えている課題や今後の展開について


ダイフク健康保険組合
保健師 大島 圭恵 さん

 健康診断における生活習慣病の有所見率を2020年までに目標値まで低減することです。ここ1、2年は停滞していますが、なんとか目標達成できるように取り組んでいます。たとえば集客型のイベントは、健康意識の高い人が参加しがちになるため、「職場でエクササイズ」のような、できるだけ多くの社員が参加できる施策を増やしていきたいと考えています。

 健保組合では、被扶養者の健診や女性のがん検診の受診率向上が課題です。現在はいずれも60%程度ですが、さらなる受診率の向上を目指しています。そこで今年度は、健康診断の日に、歯科健診、婦人科検診、保健師による面談を実施することにしました。

 職場環境についても、社員がより働きやすい環境づくりを目指して改善を重ね、ソフト面とハード面の両方から社員の健康意識の向上と仕事と生活の調和を図り、生産性の向上を図っていきたいです。

株式会社ダイフク 人事総務本部 総務部長 後藤 吉弘 さん
「地道な活動の積み重ねによって、じわりじわりと社員に健康意識が根付いてきました」

株式会社ダイフク 人事総務本部 総務部大阪総務グループ主査 林 学 さん
「健康に無関心な人も巻き込んで、より多くの社員が参加できる健康づくりを目指しています」

ダイフク健康保険組合 常務理事 中川 健一 さん
「事業所と産業医・保健師、健保組合、労働組合が連携して、社員の健康増進をサポートしています」

ダイフク健康保険組合 事務長 端 賢二 さん
「生活習慣病の有所見率の低減に向けて、既存の事業を活用した保健指導にも力を入れています」

ダイフク健康保険組合 保健師 大島 圭恵 さん
「全社横断的な組織体制のおかげで、事業所との連携が取りやすくなっています」

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